子規の庭とは

正岡子規

 

 俳句 短歌 文章を含めた日本語の革新を目指して35年の短い生涯を駆け抜けた正岡子規は、明治28年10月東京に帰る途中、奈良に立ち寄り屈指の老舗旅館「對山樓(たいざんろう)」に宿泊して

 

秋暮るゝ 奈良の旅籠や 柿の味

 

など多くの句を残しました。この度、その跡地に上記の句碑を建立し、当時から現存すると思われる柿の古木を中心に子規が好んで詠んだ草花を植え、東大寺大仏殿と若草山を借景とする庭園を完成しました。

 

最後の旅となった奈良に

 肺結核を病む身でありながら日清戦争の従軍記者として中国の金州へ赴いた子規は帰りの船中で喀血。瀕死の状況に陥り、松山へ帰郷した後、小康を得て奈良を訪れましたが、やがて歩行困難となり病床につきます。奈良の旅は子規にとって生涯最後の旅となり、いわば人生の分岐点となった印象深い地であります。

 

自然の命を感じるこころ

 ところで子規が最も情熱を傾けたのは、俳句革新です。俳句は繊細な気候風土で生まれた日本独特の文学であり、一般庶民が誰でも作ることのできる世界で最も短い詩であります。

 温室効果ガスによる地球温暖化や森林破壊など、地球的規模での環境危機が叫ばれる21世紀の今、自然の四季の移ろいに心を傾け、自然の命を詠む俳句はこれから我々人間を含めた生きとし生けるものの命のつながりを見つめなおす大きな力になる事でしょう。

 

 この「子規の庭」が新たな平成の名句を数多く生み出すことを願ってやみません。

 

正岡 明

正岡庭園設計代表、正岡子規研究所主宰
「子規の庭」保存会 名誉顧問

 

正岡家 家系図